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誤算①

 結局一度では終わらず、散々また中に出されたあと、僕は力尽き眠ってしまったようだった。  そして再び目を覚ました時、ちょうど彼はシャワー中だったから、こっそり部屋をあとにした。  正直なところ、好きだのなんだのなんていうのは耳当たりの良いただの口説き文句で、一度ヤったら彼ももう満足して、僕みたいな地味陰キャの事を追うような真似はしないだろうとタカを括っていた。  これに関しては僕の認識が、甘かったと言えよう。  ……だから彼に奇襲攻撃をかけられるだなんて、微塵も考えてはいなかったワケなのだから。 『ピンポーン』  帰宅の15分後、軽快に鳴り響いたインターホン。  通販で何か頼んでいたかななんて考えながら、軽い気持ちでモニター画面を覗いたらそこには、笑顔で立つ早乙女くんの姿が。  しかも画面越しでも、キレ気味なのが分かる。  うん、開けたくない。居留守を、使おう!  そう心に決め、再びリビングに戻ろうとしたのだけれど、インターホンのボタンを連打されたから慌てて受話器に手を掛けた。 「何?早乙女くん」  警戒しながらも、聞いた。  すると早乙女くんはフンと鼻で嗤い、答えた。   「何、じゃねぇわ。  ……なんで勝手に、帰るワケ?」  質問を質問で、返されてしまった。  しかしなんでキレられているのかが、いくら考えても分からない。  ……僕はコイツに、遊ばれただけなんだよな? 「んー。だってもう、ヤる事はヤったし。  いつまでも居座ってたら、迷惑かなと」  素直に、告げた。 「はぁ!?」  キレ気味だった彼の態度が、本格的なぶちギレモードに変わる。  え……、なんで?  僕なんか、いけなかったっけ!?

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