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初恋の終わり③
だが僕からしてみたら、酔って潰れたところをお持ち帰りされた挙げ句、永遠に守り抜くつもりだった後ろの処女を奪われた上、本人の知らぬ間に開発までされていたのだ。
どう考えてもこんなのは、僕にとって黒歴史でしかない。
沸々と、わいてきた怒り。
そうだ!僕はもっと、怒っても良いはずだ!
「……やっぱり色々と、納得がいかない」
お代わりのビールを飲み干し、ぎゅっとジョッキの持ち手を握り締めた。
すると知之はちょっと困ったように笑い、僕の頭をまるで犬にするみたいにワシワシと撫でた。
「ん―――……。お前の気持ちも、分からんでもないけどな。
30までお互い独身だったらってこれまで、散々期待させるような発言をしといて、お前の誕生日前日に婚約宣言とか。
史織ちゃんもホント、酷なことをするよなぁ」
しみじみと、語る知之。
しかし僕が納得がいかないのは、そんな事に対してではない。
だって僕は史織の事が、本当に大好きだったのだ。
だから相手が例え僕じゃなかったとしても、彼女には幸せになって欲しいと思う。
そしてそう思えたから自分の気持ちを今さら伝えて、史織を困らせるような真似はしなかったのだから。
「史織の事を、悪く言うな。
……僕が怒ってるのは、そんな事じゃない」
そう。僕の怒りの、矛先は……。
机の上に置きっぱなしになっていたスマホを手に取り、画面をポチポチとタップする。
そして表示された通話履歴を表示して、酔った勢いだけで電話を掛けた。
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