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拘束プレイ②
車はどんどん、僕の住むマンションのある方向から遠ざかっていく。
「あのぉ……早乙女くん?
僕の家に、行くんじゃないの?」
恐る恐る口にしたその質問は、無言のままスルーされてしまった。
まだ夜になると肌寒い季節だというのに、背中を嫌な汗が伝っていく。
僕らを乗せた車が向かった先は、僕の家ではなく彼の家だった。
シートベルトを外し、嫌々ではあったけれど自分から車を降りると、再び腕を掴まれた。
「自分で、歩けるから!」
その手を振り払おうとしたけれど、その申し出は笑顔のまま却下された。
「だぁめ。あともし、逃げたりしたら……。
今は俺、何するか分かんないよ?」
こっわ!!
彼の発言に驚き、恐怖に震える僕を見て、早乙女くんはブハッと吹き出したかと思うと、そのまま腹を抱えてゲラゲラと爆笑した。
……これもしかして、僕も笑って良いところなのだろうか?
だけどそれが冗談には思えなかったから、僕はそれ以上抵抗する事なく、導かれるまま早乙女くんの部屋に足を踏み入れた。
***
室内に入るなり横抱きにされたかと思うと、やや乱暴にベッドの上に放り投げられた。
そして唖然とする僕の上に彼がのし掛かって来て、そのままあれよと言う間に少し太めの紐のようなモノを使い、両手を大きく万歳した状態のままベッドに拘束されてしまった。
「へ……?」
抵抗する暇もないくらい、流れるようなスムーズで無駄の無い動き。
しかしそれに、感心している場合ではない。
……これ絶対、ヤバい状況じゃん!!
「あぁ、しまった……。
脱がせてから、縛れば良かったかな?」
ちょっと残念そうに聞かれたけれど、そうだね、その方が良かったかもねなんて、僕が答えるはずもなく。
「……知らないよ、そんなの。
って言うか、勝手にいきなり僕を縛るなぁぁぁあ!!」
涙目で、絶叫した。
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