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欲しい①
洗面所を借り、口をすすいで戻ると、彼はベッドに腰を下ろしたまま両手を広げて受け入れ体勢をとった。
だから僕は素直にそこにおさまり、おとなしく彼に抱き締められた。
軽く触れるだけのキスを、繰り返すふたり。
だけどそれでは徐々に物足りなくなり、次第に深い口付けへと変化していった。
ついでにさっき顔も冷水で洗ってきたから落ち着いたと思ったのに、再び体内に熱が溜まっていくのを感じる。
そしてそれは遼河くんも同じらしく、最初は唇だけだったキスは、少しずつ下へと下がり、僕の首筋や鎖骨の辺りをねっとりと彼の舌が這わされた。
荒くなっていく、ふたりの呼吸。
夢中で背中に腕を伸ばし、すがり付くと、それを了承の合図と受け取ったのか、彼は僕が羽織っていたシャツをやや乱暴に脱がせ、四つん這いにさせた。
「オモチャじゃなきゃ、良いんだろ?」
クスクスと笑うその表情は、やはり肉食獣を思わせる。
だけど不思議ともう、こわいとも、逃げ出したいとも思わなかった。
……彼に僕を全部、食べて欲しい。
無言のまま小さく頷くと、遼河くんは満足そうに、フッと笑った。
指で後孔の周辺をなぞられ、体が期待からフルフルと震える。
「まだここ、柔らかいままだな。
……このまま、挿れるよ」
ゴムを装備した彼のモノを、ローションを垂らしたそこに焦らすみたいに擦り付けられ、強制的に熱を高められていく。
遼河くんの言う通り、既に受け入れる準備がもう整っているのが自分でも分かっていたから、コクリともう一度頷いた。
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