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葛藤②

 彼に好きだと言われるのは、嬉しい。  なのにその想いを受け入れて欲しいと言われたら、迷いが生じる。  カラダだけで満たされる関係なら、お互いもっと簡単で、楽なのに。 「ねぇ……遼河くん。なんで、僕なの?  君だったら他にもっとお似合いの、ふさわしい人もいるだろうに」  ヘラヘラと笑いながらそんな風に聞いてしまう辺り、本当に自分でも姑息だなと思う。  だって彼は真っ直ぐに、僕が良い、僕じゃなきゃ駄目だって答えてくれると、知っているのに。  だけど彼はククッと笑い、予想外の言葉を返してきた。 「はぁ?なんだよ、それ。  他って、意味が分かんねぇんだけど。  じゃあ逆に、聞くけど。……君下の代わりになれる人間って、他にいると思う?  あとは、知之の代わりとか」  史織や、知之代わり……?そんなの、いるはずがない。  だって史織は史織だし、知之は知之だから。  戸惑う僕の頭を優しくポンポンと撫で、彼は続けた。 「つまり、そういう事。  大晴の代わりになれる人間なんて、他にいないよ」    当たり前みたいに言われた言葉に、目頭が熱くなる。  だけどそんな僕の感情の変化に気付かないのか、遼河くんは拗ねたようにじとりと僕を軽く睨み付け、両頬に手を伸ばして来たかと思うと、むにっと左右に引っ張った 「それと俺にふさわしい人間って、何だよ?  ……それを決めて良いのは、俺だけじゃね?」  頬っぺたを最大値まで伸ばされた、状態のまま。  ……彼は僕の唇に、噛み付くみたいに荒々しくキスをした。

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