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危険な男子会②
***
『ごめん、遼河くん。
今週の金曜日、知之も一緒でもいい?』
帰宅後、軽い気持ちで送ったメッセージ。
それはすぐに既読になり、少しの間の後返信が届いた。
『良いよ。知之も、泊まり?』
『うん、その予定』
『了解!なら三人分、食材用意しとく』
その言葉にホッとし、よろしくとまた返信を返した。
どちらかの家に泊まる際、彼が手料理を振る舞ってくれるのも、いつしか当たり前になっていた。
最初の頃はしゃれた洋食を用意してくれる事が多かったけれど、和食の方が好きだと僕がポロリと口にした日から、煮物だのなんだのといった純和食ばかり食卓に並ぶようになった。
彼の作ってくれる食事はどれも美味しく、見た目も美しい。
……カラダに快楽を教え込まれただけでなく、胃袋までも掴まれてしまっていると思うと、なんとなく情けない気分になってしまうけれど。
代わりにアルコール類は、料理が全く出来ない僕が用意するという、いつの間にか決まった暗黙のルール。
そんな些細な決まり事が少しずつ増えていくのを、実はちょっぴり嬉しいと感じてしまっているというのは、彼には内緒だ。
とはいえまだ彼からの告白に、返事出来ていないし、僕らの関係は相変わらず曖昧で。
……セフレと友達、そして恋人の間を行ったり来たりしているというのが現状。
そろそろきちんと返事をしなければと思いながらも、いざ気持ちを伝えようとしたら顔を覗かせる、ネガティブな自分。
でもそんな僕の事を彼は優しく見守り、甘やかしてくれる。
……行為の最中は意地悪で、僕がやめてと言えば言うほど興奮するという、残念な性癖も健在ではあるけれど。
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