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危険な男子会③

***  そして迎えた、いつもの金曜日。  でも今日は知之も一緒だから、ちょっと違うワクワク感も感じていた。    だって僕には親しい男友達がこれまで知之くらいしか居なかったから、複数でのお泊まり会などというのは、本当に初めての経験で。  大量に用意した、スナック菓子とアルコール類。  それを見た遼河くんが、思わずといった感じでブハッと吹き出していたから、さすがにちょっと買い過ぎてしまったかも知れない。  しかし楽しみにしていたのは、僕だけではなかったらしく。  ……僕以上に大量の手土産と、オススメだというホラー映画のブルーレイディスクを手に、知之は現れた。  そして始まった、楽しい男子会。  遼河くんの作ってくれた料理はどれも美味しいし、自宅という安心感からアルコールも進む。  知之が持ってきてくれたホラー映画は、とんでもなくB級感漂うゾンビもので。  ……三人で、大笑いしながら楽しんだ。 「お風呂、沸いたよ。  誰からでも、どうぞ」    これまではシャワーで済ます事も多かったけれど、遼河くんが泊まるようになってからは、湯船に浸かる機会も増えた。  ただし狭い浴室内にふたりで、あれやこれやしながら入る事も多いので、いつも逆上せそうになってしまうから、少し。  ……いや、かなり困るけれど。 「じゃあ俺が、一番風呂もーらい!」  元気よく、知之が手を挙げた。 「うん、どうぞ。  タオルとかは用意してあるから、好きに使ってくれて良いよ」  何の迷いもなく、答えたのだけれど。   そのタイミングで遼河くんが、知之からは死角になる絶妙な角度で、そっと僕の手を握った。

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