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危険な男子会④

「……!?」  予想外の彼の行動に、体がビクッと震えた。  だけど遼河くんは何事も無かったかのような涼しい顔で、さらりと言いやがったのだ。 「うん、ごゆっくりどうぞ。  俺は大晴と、イチャイチャしながら待ってるから」  そんな事を言われたものだから、こちらは一気に血の気が引いたというのに。  ……知之はそれをただの冗談として受け取ったのか、拗ねたように唇を尖らせた。 「何だよ?それ。なんか、ズルい!  後で俺も、混ぜろよな」 *** 「さて、大晴。やっと二人きりに、なれたな?」  上機嫌で抱き締められ、当たり前みたいにキスをされそうになったから、慌てて彼の体を押し戻した。 「ちょ……駄目だよ、遼河くん!  家には、知之もいるんだから!」  すると遼河くんはククッと楽しそうに笑い、しれっと答えた。 「うん、いるな。でも今アイツ、風呂入ってるし。  ここまで待てた俺を、むしろ褒めてくれてもいいと思うんだけど?」  そうだった。……この男は、こういうヤツだった。  でも確かに彼の言うように、知之がいる場ではおとなしくしていてくれただけ、ありがたいと思うべきだろうか?    ……いや、そんな事はない。  騙されるな、僕! 「ほら、早くしようぜ?   じゃないとアイツに、恥ずかしいところを見られる事になるぞ?」 「へ……?恥ずかしい、ところって……。  待って!いったい、どこまでするつもり!?」  極力声をおさえての、小声での会話。  彼はニヤニヤとゲスな笑みを浮かべたまま、立ったまま僕のジーンズのファスナーに手を掛け答えた。 「さぁ?どこまでに、しよっかなぁ……」  くっ……、サイアクだ!  だけど抵抗をすればするほど、危険度は上がるだけだろう。  結局のところ僕には、選択肢なんて無いに等しいワケで。  涙目になりながら、彼の憎たらしいぐらいに整った顔面を睨み付けた。

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