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はじめてのおつかい①

「じゃあ、大晴きゅん。  買ってくるモノは、ちゃんと覚えまちたか?」  ニヤニヤと笑いながら、知之が気持ちの悪い幼児語で聞いた。 「テ○ガと、ローション。  ……それと、XLサイズのコンドーム」  半ば自棄クソで、答える僕。  すると今度は遼河くんが、クククと笑って僕の頭をワシワシと撫でた。 「よく出来ました!おつかい、頑張ってね」  楽しそうに言われたけれど、こっちはまるで楽しくない!  だけど負けは負けだし、嫌だと言ったところでこのたちの悪い酔っ払いふたりが、許してくれるとも思えない。  家の近所にある、夜間もやっている見るからにいかがわしい店の前で、ヒラヒラと僕に手を振る知之と遼河くん。  ……本当に、サイアク過ぎる。  しかも商品名は教えられたものの、テ○ガとやらの正体がいまいちよく分からない。  男性用のオモチャらしいのだが、知らないと素直に訴えたところ、いよいよ分からなかったら、店員さんにちゃんとオススメの品を聞くようにと言われてしまった。  ……ちなみに現在、スピーカーモードのままスマホは通話中に設定されているため、ズルは出来ない。  怪しげなピンクのネオンライトが光る店内に、恐る恐るひとり足を踏み入れる。  幸い他に客はいないようだが、だからといって状況が好転したワケではない。  ローションとコンドームは比較的分かりやすい場所に置かれていたため、割とすぐに見つける事が出来た。  しかしどんなモノなのか分からない事もあり、もうひとつのお目当ての品……テ○ガとやらがなかなか見付からない。

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