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はじめてのおつかい②

 店員らしき人が店内にはいるけれど、自力で探せるなら自力でなんとかしたい。  なぜならお店の人に聞くと、オススメのテ○ガを教えて貰わなければならないという、新たなクソミッションが発生してしまうからである。  ……それだけはなんとしても避けたいと、非常に強く思う。  ひとりでキョロキョロしながら店内をうろついていたら、唇にピアスを着けた、ピンク色の髪をしたちょっとウェイ系な感じのお兄さんが声をかけてきた。 「なんか、お探しっすか?」  店員の教育、よく行き届いてるなぁ。……無駄に。  出来る事ならばそっとしておいて欲しかったが、こうなったら仕方あるまい。  僕は覚悟を決め、彼の顔を見上げて聞いた。 「えっと。あの……テ○ガって、ありますか?」  するとお兄さんは、笑顔で店の角の方を指差した。 「ありますよ。それなら、あの辺りっすね」  言われた辺りに、視線を向けてみる。  ワゴンの中に積み上げられた、カラフルなボックスの山。  ……見た目は可愛らしい感じだけれど、どうやって使うのかまるで見当がつかない。  でもとりあえず、買うべきモノは見付かった。  あとは追加で発生したミッションをこなし、精算したら終わりだ。  お疲れ様、僕。よく、頑張った! 「……この中で何か、オススメってあります?」  僕の質問に、お兄さんは優しく答えてくれた。 「これとか、いいっすよ。  俺もたまに、使うんすけど。  バキューム機能付きな上、中はスパイラル状になってるから、手動だけどマジでえっぐい動きするんで!」

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