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選べなかった未来②

 ニヤリと笑うその表情は、やっぱりヤンチャな子供みたいだ。  でもこれはきっと本当の気持ちを口にする事の出来ない僕への、最大級の優しさだったのだろうと思う。  帰りの車中では、僕も彼も饒舌で。  これまで共に過ごせなかった時間を取り戻すみたいにたくさん語り、笑った。  だけどやっぱり遼河くんに、好きだと伝える勇気は持てなくて。  それぐらいこの時間が僕には心地よく、楽しくて。  ……だからこれまでと同じセフレ関係のまま、このまま側に居られたら充分だと、僕は思ってしまったんだ。  しかしそんなのは、全部まやかしで。  彼は本当は僕に、それ以上の関係を。  ……僕のココロを、強く求めてくれていた。  なのに僕は彼の優しさに甘え、このままズルズルと、曖昧な関係を続ける事を望んだ。    きっとそれは本気で僕の事を愛してくれた彼にとって、僕が思うよりももっと、ずっと、残酷な望みで。  そしてこの甘えが僕らの不確かで不明瞭だった繋がりを、完全に壊した。  この日僕が素直に自分の感情に従い、彼にきちんと気持ちを伝えていたら、僕達の未来はもしかしたら全然異なるモノになっていたのかもしれない。  でもそんなのは全て、後からだから言える事だ。  結局僕は自分可愛さに、彼に好きだと言えなかったせいで遼河くんを深く傷付け、友達という立場すらも失ってしまったというのは、変えようのない事実なのだから。    それでもやっぱり、考えてしまうんだ。   この日僕が、君が好きだと。  遼河くんじゃなきゃ駄目なんだと、ちゃんと伝える事が出来ていたら。  ……君は今も僕の隣で、笑ってくれていたのかなって。

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