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親友①

「おーい、大晴。  やっぱお前、今日はまた一段と顔色悪くね?」  今日も今日とて、失礼な言われようである。 「うるさいよ、知之。  別にこれが、普通だし……」  仏頂面のまま、ビールの入ったジョッキに手を伸ばす。  するとその手は、ピシャリと叩き落とされた。 「お前さすがに、ちょっと飲み過ぎ。  潰れたら、いったい誰が介抱すると思ってるんだよ?」  それを言われては、これ以上飲みたいなどとは言えず。  知之がさっき注文してくれた、りんごジュースをおとなしく手にした。 「こんな時、遼河が居てくれたら楽なのにな。  お前がどんだけ酔っ払っても、全部引き受けて家まで送り届けてくれてたし」  突然彼の口から出た、遼河くんの名前。  その瞬間、自然と表情が強張るのを感じた。 「……お前やっぱり、アイツとなんかあった?」  じっと顔を覗き込まれ、言葉に詰まる僕。  だけど彼はそれ以上深く追及する事なく、困ったように笑った。 「やっぱりか。……この間会った時、遼河のヤツもちょっと様子がおかしかったからさ」  空気が読めない事に定評のある知之にまで、こんな風に言われるだなんて。  あまりにも感情が駄々漏れらしき自分が少しだけ恥ずかしくなったけれど、今さら知之相手に恥じらっても仕方ない。  だってこれまでもコイツには、さんざん醜態を晒して来たのだから。   「遼河くんと、会ったんだ?  ……彼、何か言ってた?」  どうしても遼河くんの様子が知りたくて、つい聞いてしまった。 「ううん、別になんも。  けどこれまでは大晴にしか興味無さそうだったのに、お前の話題をやたらと避けてる感じがしたからさ」

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