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親友③
あまりにも衝撃的な知之の告白に驚き、むせる僕。
すると彼はまたしても呆れたように、フッと鼻で嗤った。
「俺は高校の頃から、割とアイツとも仲良かったから分かるんだけどさぁ。
遼河は基本的に何かに執着したり、独占欲剥き出しで周りを牽制したりするような真似をするタイプの人間じゃない」
再会してからの遼河くんの言動と、あまりにもかけ離れたその内容にまた困惑した。
だからその言葉の意味がいまいちよく分からず、知之の顔を凝視してしまった。
だけど彼は特に気にするでもなく、話を続けた。
「だーかーらー!お前はそれだけアイツにとって、特別な存在って事なんじゃね?」
くしゃりと頭を、撫でられた。
確かに以前は、そうだったかもしれない。
でももう、今は違う。
……気持ちを素直に伝える事すら出来なかった僕なんて、彼にとってはもう無価値で。
セフレって言ってもたぶん、女の子とヤる方が気持ちが良いのだろうと思うし、わざわざこんな面倒な性格の男を選ぶ必要なんてどこにもないのだから。
「前は確かに、そうだったかもだけど。
でももう今は、違うんだ。
だって彼、男でも女でも、選び放題なワケだし……」
答えながらつい泣きそうになったから、慌ててりんごジュースをまた口に含み、誤魔化した。
「あのなぁ、大晴。
アイツが何でも出来る、パーフェクト・ヒューマンである事は間違いない。
実は宇宙人でした、なんて言われても、俺は別段驚かん。
むしろなるほど、やっぱりかと納得するよ」
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