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親友⑤

 そう……なのだろうか?   でも知之の言うように、遼河くんはああ見えて、意外と不器用な人間なのかもしれない。    だって普段感情を抑えている分、爆発させる時はいつだって一瞬で。  ……体内の熱をもて余し、本人すらもその扱いに戸惑い、困っているように思えたから。 「でももし本当に僕が、彼にとって特別な存在なんだとしたら。  ……なんで遼河くんは、一方的に関係を終わらせたりしたんだろう?」 「え……お前ら、マジで別れたの!?」  相当驚いた様子で、また知之が大きな声をあげた。  だから今度は口元に人差し指を当て、静かにとジェスチャーだけで伝えた。  しばらく考えるような素振りを見せたかと思うと、ニヤリと笑う知之。 「そんなの、知らねぇよ!  けどさぁ……大晴が納得いってないんなら、本人に直接聞いてみたらいんじゃね?」  本当に知之は、単純で羨ましい。  だけど真っ直ぐな彼の言葉は、僕に力をくれた。  コイツの言うように僕から動かなければきっと、遼河くんと僕の関係は本当に終わってしまう。  だから僕が、逢いに行かなくちゃ。 「そうだね、知之。  ……今度彼に、逢いに行ってくるよ」  クスクスと、笑いながら答えた。  すると知之は腕時計を確認し、ガタンと勢いよく席を立ち上がった。 「今度じゃ、駄目だ。  お前の性格からして、いつまでもウダウダ言い訳して、絶対に行かない。  いつ行くの?」  某塾講師の真似をして、知之が聞いた。  そしてこんな風に言われたら、僕に残された答えはひとつしかない。 「今でしょ!……でも知之、それネタだとしてもさすがにちょっと古いと思うよ」

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