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好き②
でもちゃんと伝えないとお互い不安になるというのも、もう充分理解していた。
だから恥ずかしかったけれどぎゅっと目を閉じて、これまで隠してきた想いを口にした。
「あのね、遼河くん。……僕もやっぱり君の事が、好きだった……みたい」
恐る恐る、そっと目を開けてみる。
すると彼の形の良い眉毛が、片方だけピクリと上がった。
そしてその後彼は再びにっこりと微笑み、告げた。
「好き|だった《・・・》、|みたい《・・・》?
過去形?しかも、確定じゃねぇの?
ハイ、大晴。やり直し!」
額を軽く、指先で弾かれた。
なんで想いを告白しに来たはずなのに、こんな恐怖体験をしなければならないというのか?
……理不尽が、過ぎる。
「遼河くんが、好きです。……大好き!」
まるで喧嘩を売るみたいに、半ばやけくそで叫んだ。
すると彼はククッと笑い、優しく僕の頬に触れた。
「大変よく、出来ました。
……俺も大好きだよ、大晴」
甘く囁かれ、ちゅっ、と今度は額に唇を押し当てられた。
こんな風にされた事は、この男と再会してから幾度となくあるはずなのに、想いを自覚し、伝え合った今はたったこれだけの行為がとんでもなく恥ずかしい。
それこそ遼河くんとは、これ以上の行為をした回数の方がよほど多いはずなのに。
「じゃあ、改めて確認な。
俺達は両想いで、今日から恋人同士って事でOK?」
これまで返事を待たせて来た分の、利息まで取り立てられているような気分。
でもこれは、本当は僕自身ずっと望んでいた事。
だからすっごく照れ臭かったけれど、コクンと大きく頷き、彼に向かい両手を伸ばして抱き付いた。
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