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理不尽な嫉妬〜Side遼河〜
「りょ…がくん……! 気持ち…い……!」
震える声で、必死に訴える大晴。
ヤらせたのは自分だというのにこんなオモチャなんかに乱され、よがり狂うコイツを見せられるのは、なんとなく不愉快だった。
「アハハ。それ、そんなにいいの? ちょっと、妬けちゃうなぁ……」
グッと彼の手のひらの上から、強く握った。
そしてさらに激しく上下に何度もしごくと、彼はあっさり達しそうになった。
まじでそんなに、気持ち良いのかよ?……やっぱ、ムカつく。
だから彼の真っ白な首元に歯を立て、軽く噛み付いた。それに驚き、振り返る大晴。
そうだよ。そうやってお前は、俺だけ見とけ。
荒々しく彼に口付けて、下半身に熱くかたいモノを押し当ててやった。
「まだ、いかせない。一回だけなんだから、もっと楽しめよ」
彼の痴態を前に俺も我慢出来なくなり、もう一方の手を彼の尻に向かい伸ばした。
するとそんな真似までされるとは考えてもいなかったのか、慌てて大晴が後孔を隠そうとした。
……でもそんなの、許すわけないじゃん。
それにまたいら立ち、今度は前を激しくしごいてやった。
ハァハァと、乱れる呼吸。
完全に意識が前に向かっている隙に、指先で今度はやすやすと後孔に触れて、いつもみたいにゆっくりほぐしていった。
雄と雌、両方の快感を無理矢理同時に与えられ、狂わされていく大晴。
その艶かしい姿に俺も乱され、獣みたいにまたしても欲情していくのを感じる。
最初はいつもみたいに恥ずかしがっていた癖に、めちゃくちゃにケツを弄ってやったら気持ちいい感覚の方が徐々に強くなってきたのか、彼はオモチャを使った自慰行為に溺れていった。
……俺の手がもう、オモチャからは離れていることにも気付かないままに。
「だらしない顔、しやがって。ほら、ケツももっと弄ってやるよ。 嬉しいだろ?」
二本目の指でぐちゃぐちゃに、既によく知る彼のイイトコロを探り、弄んでやると、彼はみっともないアへ顔を晒した。
「嬉し……い……。それ、好き…! りょ…がくん……、もっと……!」
淫売女みたいにねだる言葉にすらも、興奮した。
そんな大晴が愛しくて、もっと狂わせてやりたい衝動に駆られる。
蕩けきった表情の彼にキスをすると、それだけであっさり達しそうになる敏感なカラダ。
だけどもう、これは要らない。
オモチャは、没収。
彼を四つん這いにさせ、耳元で卑猥に囁いた。
「なぁ、大晴。指とオモチャなんかで、いっても良いの? もっとぶっとくて、お前が大好きなので思いっきりいきたくない?」
すると大晴はまるで発情期の猫みたいに、甘えた声で求めた。
「ううん、よくない……! 遼河くんの、おっきいのがいい……!」
ハッ……。ホント、エロ過ぎんだろ。
まぁでもそうなるように仕込んだのは、他でもない俺なわけですけど。
「ならもっと、拡げてやらないとな?こんなもんじゃ俺の、入んないから。三本目……、もう余裕だろ?」
二本の指を中で開くと、そこはいやらしく俺の指を締め付け、もっとと甘えてねだった。
だけど俺の言葉でそれよりもさらにイイモノがここにはあるのを思い出したのか、大晴は尻を高く突き上げて、指を入れやすい体勢を自ら取った。
追加で突っ込んだ、三本目の指。
俺のを挿入するためだっていったのに、こんなに美味そうに指に食い付いて来るとか……。
ヤバい、めちゃくちゃに犯したい。
ここには友だちの、知之だって泊まっているというのに。
「こら、あんま締め付けんなって……。それだと、拡がんないだろ?」
わざと呆れたように笑い、意地悪く告げる。
とはいえやめてやるつもりなんて毛頭なかったから、本人以上に弱点をよく知る指で容赦なく攻め続けた。
「声、我慢しろよ。知之に、聞かれるぞ?」
ククッと意地悪く笑いながら、耳元で囁いた言葉。
慌てて声を抑え、クッションを抱き締める大晴。
どうせ抱き締めるなら俺を抱き締めて欲しいところだが、後ろから獣みたいにブチ込まれたい様子だし、仕方あるまい。
「このタイミングで、更に締め付けるとか。……ホントお前、ドMだよな」
勢いよく指を引き抜くと、彼は泣きそうになりながら俺の方を振り向いた。
そんな可愛い表情を見せられたものだから、本当は早く抱きたくて仕方なかったけれど、無理矢理余裕の笑みを浮かべた。
「そんな顔しなくても、すぐにやるって。……もう俺のが欲しくて、堪んないんだよな?」
さっき買ってきたばかりのコンドームの入った箱を手に取り、それを装着しようとした。
だけど少しでも早く挿れて欲しかったのか、俺からそのカラフルな蛍光グリーンの小袋を奪い、大晴は封を開けた。
それにはさすがにちょっと驚かされたけれど、それだけこいつも俺が欲しくてたまらないということなのだろう。
そう思ったから壁にもたれて座り直し、だらりと体を弛緩させた。
無言のままひざま付き、俺のモノにそれを被せる大晴。
助けを求めるみたいに宝石みたいに美しい瞳で見上げられた瞬間、またしても嗜虐心が頭をもたげた。
……もっと苛めて、困らせたい。
「で? こっから、どうすんの?」
ニヤニヤとゲスな笑みを浮かべ、聞いた。
「どうすんの、って。……どうしたらいい?」
途方に暮れたように、じっと俺の顔を見つめる大晴。
サディスティックな笑みを浮かべ、彼の下腹に卑猥に指を這わせた。
「大晴の、好きにしていいよ?」
俺との行為の最中、いつだって大晴は受け身だった。
さっき素股をさせた時も腰を振るように言われ、それに従いはしたけれど、主導権は常に俺にあったし。
だからこんな風に好きにしていいなどと言われたら、途端に困ってしまうのだろう。
……可愛いが、過ぎる。
でもさすがにこれ以上求めるのは可哀想かと考え、妥協案を提示しようとしたタイミングで。
大晴は覚悟を決めたのか座る俺に跨がり、向き合った状態で自ら挿入の体勢をとった。
「いい子だね、大晴。そのまま自分で、腰を落として……」
ヤバい、まじで可愛過ぎだろ。
無垢なカラダに少しずつ教え込み、慣らさせた快楽。
俺の言葉に従い、大晴はゆっくりと腰を落としていった。
「下手くそ。そんなんじゃ、いつまで経っても逝けないぞ?ほら、俺も手伝ってやるよ」
本当はもう少し彼の痴態を見ていたかったけれど、こちらももう限界で。
……クスクスと笑いながら、腰に添えた。
そのままグイと下に強く引き、一気に一番奥を貫いて、グッと押し当てる。
「んっ......!」
愛らしい唇から零れた、喘ぎ声。
ガン突きしたい衝動を必死に抑え込み、彼の綺麗な瞳をじっと覗き込む。
それは隠避な光を宿し、いつもの無垢で純粋な彼からは想像も出来ないくらい卑猥で、淫らで。
俺の上。自らの意思で腰を振り、夢中で快楽を貪る大晴。
不可侵な存在だったはずの男が俺を求め、必死に快感を追う姿に見惚れた。
自然と漏れ出た、黒い笑み。
それを見た彼の大きな瞳が、さらに大きく開かれて。
……穏やかにほほ笑んで、彼は俺にキスを求めた。
可愛い可愛い、俺の大晴。
……カラダだけじゃなく、早くココロも俺に堕ちてくれたらいいのに。
そんな願いを込めて、快楽に蕩け、もう何も分からなくなっているであろう彼の唇に荒々しく口付けた。
【…fin】
***
『オモチャ③』辺りの、お話になっています。
ちなみにこのSSの後、知之と目が合います。
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