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2話 提案

「……凄い」 部屋に入るなり、壮馬は思わず感嘆の声を上げた。 遠征先のホテルはけして超一流と言うわけではない。だが、やはり監督の為に用意された部屋と言うだけあって、壮馬達とは造りが全く違っている。 広さはゆうに20畳くらいはあるだろうか? ベッドルームに続くリビングの壁には大きな暖炉が埋め込まれており、格調高いソファやテーブルが存在感たっぷりに鎮座していて大きく設けられた窓からは街が一望できるようになっている。   「随分、広いですね」 「そりゃ、なんたってスイートだからな。俺は他の選手たちと同じような部屋でいいって言ってるんだが、どうもそういうわけになはいかないらしい」 リチャードは流暢な日本語でそう話し、冷蔵庫からビールを二本取り出すと、苦笑しながらそのうち一本を壮馬に投げてよこした。   「わっ、ちょっと! 投げないでくださいよ」   「硬いこと言うなって。まぁ、アレだ。こんな広い部屋に一人で居るのは性に合わないんだ。だから、お前が来てくれて助かったよ」 象牙で装飾を施されたローテーブルにツマミを広げ、肩を竦めてみせる。 「そんなの……」 自分ではなく、知り合いの女性でも呼んだ方が余程有意義な時間が過ごせるのでは? と思ったが、口には出さなかった。 チームを纏める監督とはいえ、彼はまだ30代だったはずだ。 王子様のように整った甘いルックスと屈託のない笑顔は女性受けしそうだし、現役を退いた今でも一定数のファンは多くいると聞いている。 現に何度か球場へ女子アナやモデルなど、美人女優を同伴していたこともあったし、壮馬自身も何度か彼と女性が親しげに歩いている所を見かけた事がある。 彼女の一人や二人居てもおかしくない筈で、だからこそ何故自分に声を掛けてきたのか疑問だった。

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