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「泣きたいときは思いっきり泣いていいんだぞ?」 「……っ、泣きませんよ」 「強がるなって」 「強がってなんかいません!」 頭をクシャクシャと撫で、からかうような仕草に思わず声を上げ、凭れていた身体を慌てて起こした。 「そうか? 俺にはどう見ても無理しているようにしか……。でもまぁ、こう言う時はセックスが一番だな」 真面目な顔をして何を言っているんだこの人は……。 今の会話の流れでどうしてそこに行き着くんだと、戸惑いを隠せない。 「は? あの、意味がわかりません」 「性の悩みは性で解決するのが一番手っ取り早いに決まってるだろ? 心の隙間は人肌で埋めるのが一番効くんだ」 意味不明な主張をしながらリチャードの指が擽るように壮馬の頬を撫でた。少し垂れ気味の双眸から覗くブルーの瞳にみつめられ息が詰まる。 「あ、あの……酔っているんですか?」 「俺は至って正気だ。寂しい時は人肌が恋しくなるモンだろ? 思いっきりイイコトして、疲れて寝てしまえば少しは気分も楽になるさ」 鼻と鼻が今にもくっつきそうな距離で囁かれ背筋がぞくりと震えた。 そんな簡単に気持ちを切り替えられるほど壮馬の頭は単純に出来ていない。 祥太郎以外の男と寝るなんて考えられない。頭ではそう思っているのに身体が言う事を利かないから困る。

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