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「どうだ? 想像どうりの身体だった?」 ごく、と息を呑んだ壮馬の反応に満足したのか、リチャードは壮馬の手を取り、自分の胸元へと導く。そしてそのまま手をゆっくりと滑らせ、スウェットパンツの、ウエスト部分で止めた。 「どうせなら、こっちも触ってみるか?」 「えっ、や……っそれは……っ」 吸い寄せられるように見ていた事に気付いていたのだろう。耳元で囁かれて壮馬の体温が上がる。 あと少し、この手をずらせば、直に彼の肌に触れる事になる。 「ソウマは思った通りのいい身体をしているな」 想像以上だと想像以上だと囁く声に、いったい何を想像していたのかとツッコミを入れたくなった。 昔から散々ベビーフェイスだと言われてきたが、壮馬は決して女々しいタイプではない。身長も180センチ近くあるし、体重だって70キロ近い。筋肉質と言うよりは、どちらかと言えば細い方に分類されるものの、決して華奢ではない。童顔は自分のコンプレックスの一つだった。自分的には、祥太郎やリチャードのような男らしいワイルドさが欲しいところだと常々思っているのだが、どう頑張っても正反対の位置にいるのはわかっているのでそこはもう、諦めている。 「真面目そうで、こう言う事に疎そうに見えたソウマがベッドの上でどう乱れるのか興味があるよ」 リチャードは壮馬のもう片方の手を取り、ゴムの部分から指先だけを差し入れさせた。距離が近付くにつれて、ふわりと香る甘いコロンの匂いに眩む。 少し力を入れたら、リチャードのスエットをずらすことが出来る。だけど、それをしたら本当に後戻りができなくなる。 わかっていて、そうさせようとしているのだろう。  幼い頃から、ずっと野球と祥太郎とが自分の全てだった。それ以外の事には興味が持てないし、中学、高校とそれなりに言い寄って来る子はいたが恋愛事にも関心が薄かった。 甲子園で活躍するたびに「爽やか王子」と持て囃され、プロの世界へ足を踏み入れればどこへ行っても黄色い声援を受ける。でも、それだけだった。 女性への関心が湧くどころか、他の男なんて考えたことも無い。それなのに、リチャードを前にして、ムラムラとした欲望が湧いていた。 腰に置いた手で、その身体に触れてみたいし、隠された部分を暴いて見たい。

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