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かわる景色 2
壮馬が祥太郎と共にランニングを終え、戻って来ると今度ははっきりとリチャードと目が合った。
ニコニコと人好きのする笑顔で近づいて来て、思わず壮馬は身構えてしまう。
「なんだ、もう大丈夫そうじゃないか」
「全然大丈夫なんかじゃないですよ。腰は痛いし、しゃがむとなんか変な感じがするし……」
「俺は、ショウタロウとの関係を言っているんだが……?」
ククッと笑われて、壮馬は自分の間違いに気付きカァッと赤面した。
言われてみれば、昨日の今日で祥太郎とはもっとギクシャクしていてもおかしくない状況だったはずだ。
それがどうだろう。全く違和感なく話が出来てしまっている。
夕べリチャードに誘われなかったら、もしかしたら今日は沈んだ気持ちでココに居たのかもしれない。
相当傷ついていた筈なのに、途中から祥太郎の事なんて考える余裕はなかった。
それどころか、指摘された今の今まで忘れていた。
自分はそんなに単純な人間では無い。セックスなんかで忘れられるはずがない。そう、思っていたのに。
「効果的面ってやつだろ? また辛くなったらいつでも相手してやるぞ」
「も、もう行きませんからっ!」
ゆでたタコのように赤くなる壮馬の頭をポンポンと軽く叩いてリチャードは横を通り過ぎる。
そんな二人の様子を、少し遠く離れた場所から祥太郎は首を傾げて見詰めていた。
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