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戸惑いと葛藤と 12
こんな公共の場で、誰が何時戻って来るかわからないロッカールームで、キスを仕掛けてくるなんて信じられない。
「そんな風に強がってる所も可愛いな」
リチャードは壮馬の手を取るとそっと人差し指を口に含んだ。
唾液で濡れた舌が指を這い、ゾクゾクとした快感が指先から脳天まで走り抜ける。
「ん……ぁっ、や、やめてください……っ」
「止めていいのか? 本当に? 触ってもないのにコッチはカチカチになってるみたいだが?」
チュッと音を立てて指先を吸い上げた彼は、壮馬の手を離すと壮馬の足を膝で割り開いて下腹部を押し付けて来る。布越しにリチャードの昂ぶり具合が伝わって来て、壮馬の耳が熱く火照った。
互いの熱を擦り合わせ、刺激を受けた壮馬のモノもさらに硬度を増してしまう。リチャードはそれをからかう様に内腿に昂ぶりを擦り付け、壮馬の身体を愛撫するかの様に足を太ももから膝、そして股へと撫で上げた。
「あ……っ」
布越しに触れてくる彼の手が、的確に気持ち良い場所を擦って来るから壮馬は喉を震わせて堪らず甘ったるい吐息を吐いた。
直接触って欲しい……けれど、こんなところでこれ以上の事をされても困る。
壮馬はリチャードのシャツを強く握りしめ、理性を総動員して首を横に振った。
「こ、こんな所では嫌ですっ」
「こんな所じゃ無ければokなんだな?」
間髪入れずにそう問われ、壮馬は言葉を詰まらせる。昨晩リチャードに抱かれた身体にはまだ余韻が残っているのか、彼に触れられただけでゾクゾクとした感覚が走った。
朝、感じていた後悔もリチャードの匂いや熱が何処かに吹き飛ばしてしまう。もう、自分を止められそうになかった。
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