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戸惑いと葛藤と 14
「はぁ……っ」
思わず口から熱い吐息が漏れる。乳首を吸われただけでこんなに感じてしまうなんて恥ずかしくて堪らなかったが、彼はそんな事お構いなしに執拗に尖らせた舌先で硬くなった突起を押し潰してくる。
「あっ……んんっ……」
もう片方の乳首も指で抓られクニクニと弄ばれ、ジンジンした甘い痛みがジンと腰に伝わって来て、壮馬は思わず身を捩った。
リチャードが与える刺激はどれも初めて経験する事ばかりで、その一つ一つに身体が過敏に反応してしまう。
「昨日、よかっただろう?」
リチャードは昨夜の壮馬を肌で感じていたのだから、嘘を吐いてもお見通しだ。違うと答えたら相手を悦ばせるだけだと解ってはいたが、素直に認めるのもなんだか癪で壮馬は視線を逸らして、そっけなく答えた。
「ま、まぁ……そう、ですね。良かったですよ」
「何も考えられなくなるくらいに溺れて、朝はスッキリ。よく眠れるしいいことだらけだ」
確かに最初は祥太郎の事がまだ頭に残っていたが、行為の最中にはいつの間にか頭から消えていた。今朝、グラウンドで顔を合わせるまで思い出しもしなかった。
「何度もそうやって繰り返してるうちに、いつか失恋だって笑い話にできるようになるさ」
「……」
そんな馬鹿な。と言いたかったが言葉が出なかった。
実際に忘れていたのは確かだし、今までみえてこなかった彼の嫌な部分に気付いてしまったのも否定はできない。
だが、祥太郎との関係が笑い話になる日が来るとは思えなかった。彼の存在は壮馬の中で余りにも大きすぎたし、これからもその先も同じ業界に居る以上は何度だって顔を合わせる事になる。
「もし……。そんな日が来なかったら?」
「俺が書き変えてやる。何もアイツの事を嫌いになれと言ってる訳じゃない。アイツとの事はもう終わった事だって心の整理がつくまで何度でも」
それって、これから何度もこういう日があるという事? ふっとそんな考えが頭をよぎり、壮馬は息を飲んだ。
「いま、ちょっと期待しただろ?」
「し、してません! 期待なんてするわけ無いじゃないですかっ!」
ツンとして横を向いた壮馬の耳を、リチャードは食む。
「ぁっ」
そして、フッと熱い息を吹きかけたかと思うと耳朶を甘噛みされて耳の形をなぞられるだけで股間が熱くなった。
こんなに早く反応してしまうのが恥かしすぎて、壮馬は膝を立てて誤魔化そうとしたが、余計にリチャードの視線をそこへと誘導するだけとなってしまう。
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