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戸惑いと葛藤 19

普段は愛嬌たっぷりに周囲を笑わせたり和ませてくれている彼が見せる雄の表情に不覚にもドキドキしてしまって、無意識にぎゅっと後孔を締め付けてしまう。 それに煽られたのか、リチャードが少しだけ顔を歪めて、熱い欲の塊を壮馬の身体の奥に放つと同時に動きを止めた。そして深い溜息を一つ零した後、壮馬の上に崩れ落ちてくる。 はぁーとリチャードが漏らす重たい溜息を胸に受けて壮馬はゴクリと唾を飲んだ。 壮馬の中にはまだリチャードが居てドクンドクンと熱く脈打っている。 体内に他人を受け入れる側に自分がなるなんて、更にそこから快感を得ているなんて、少し前の自分からしたら信じられなかった。 祥太郎にフラれ半ば自棄クソでリチャードと関係を持ってしまったが、好きでもない相手とこんなことをするなんて自分は何をやっているんだろう。 しかも、今は寧ろこの行為が気持ちよくて堪らない。 もしもまた、リチャードが誘って来たら、壮馬はきっと拒否できないだろう。 「はぁ……」 熱っぽい溜息を吐いて枕に顔を埋めた壮馬の身体をリチャードが後ろから抱きしめて来た。その腕は温かくて優しい。 「……ソウマ……」 耳元に唇が触れそうな距離に吹きかけられた熱い吐息混じりの甘い声色に壮馬の身体が震える。 「んっ……み、耳元で囁かないで下さいっ!」 「why? あぁ……感じるから?」 クスッと笑いながらリチャードが壮馬の耳をカリッと甘く噛んだ。 「ち、ちがっ、アッ、んぅっ……!」 ぞわぞわと背筋が粟立ち、腰に痺れが走る感覚が堪らない。リチャードはそのまま舌先を尖らせて耳孔に差し込んできた。 「ちょ、ちょっと! そ、そんなのだめ、ぅあっ……」 じゅるっと唾液の音が響き、鼓膜を犯されているような感覚に身体の力が入らなくなる。

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