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怒ってる……? 3

何故、そんな言い方をするのか壮馬には理解できなかった。確かに何度か寝た事実はあるが、それだけだ。 一時的な感情に任せての曖昧な関係に、一体何の意味があると言うのだろうか。 「とにかく。此処では目立つので離して下さい」 「……」 周囲に人が集まって来たので、これ以上騒ぎを大きくしたくない。壮馬が懇願するとリチャードは渋々と言った感じで手を離した。 「あ! こんな所に居た! 一ノ瀬。探したぞ。監督も、何やってるんっすか」 計ったかのようなタイミングで現れたのは同じチームの先輩でもある宮村だった。 「たく、いっくら電話かけても出ねぇし……。監督は監督で、一ノ瀬探しに行ってくるっつって戻って来ないし。二人して何やってたんっすか」 「え?」 慌ててスマホを確認すれば、確かに色々なチームメートたちからの着信履歴が残されており、壮馬は申し訳無さそうに頭を下げた。 「すみません……」 「たく。別にいいけどさ……。ほら、行くぞ」 「えっと……?」 一体何処に? と壮馬が首を傾げると、宮村は呆れた様子で溜息を一つ吐き出した。 「打ち上げだよ。打ち上げ! 監督から聞いてるだろ?」 「……」 そんな話、一言も聞いていないのだが? チラリとリチャードに視線を送れば彼はしまった。と言わんばかりの表情で肩を竦めおどけてみせた。 あの顔。絶対に忘れていただろう。 「ほら、何やってるんだ。今日のヒーローが来ないと盛り上がらねぇし。もう店は押さえてあるんだから!」 半ば強引に腕を引かれるようにして歩き出す。 本当は今日はもう帰って寝たい所だったが、先輩である宮村からのお誘いを無下に断る訳にもいかず、壮馬は仕方なく全身の力を抜いた。

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