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怒ってる? 6
「あの、僕は全然落ち着かないです」
「いやらしい事考えるから?」
「な……っ、」
リチャードはクスリと悪戯っぽい笑みを浮かべると、甘さの滴る仕草で壮馬の顎が掛かり上向かされる。吸い込まれそうなアイスブルーの瞳に見つめられ、不覚にもドキリとさせられた。
「本当に、ソウマは可愛いな」
「か、からかわないで下さい……っ」
「からかっているつもりはないさ。思った事を素直に言っているだけだが?」
「っ、だ、だからそう言う……」
これ以上は聞いていられなくて壮馬はリチャードの口を塞ごうと手を伸ばすが、その手を捕らえられてしまい逆に引き寄せられてしまった。そのまま体重をかけられる形でソファに押し倒される。
「……っ、あ!」
不意に伸びてきた手がスウェットの裾から潜り込んで来て脇腹をするりと撫でるから、壮馬は反射的に上擦った声を漏らした。
「待ってください! なにヤる気になってるんですかっ」
毎回毎回流されると思ったら大間違いだ。やんわりとリチャードの胸を押し返し拒否の意志を示せば、彼はおどけたように残念と言った表情をして、ゆっくりと身体を起こした。
「ただやりたいだけなら風俗にでも行けばいいじゃないですか。僕は貴方の性欲処理に付き合うつもりはありませんから!」
壮馬の言葉にリチャードは困ったように眉尻を下げた。
「酷いな。性欲処理だなんて……。俺はただ、ソウマと話がしたかっただけなのに」
「貴方は、ただ話をするだけなのに人を押し倒すんですか? 随分とぶっ飛んだ思考の持ち主ですね」
「いや、それは……」
リチャードはバツが悪そうに視線を逸らし、小さく肩を竦めた。
「……わかったよ。手は出さない。でも、キスと触れるだけ……は、許して欲しい」
にこりと笑いながらそう言われれば断れるわけもなく、壮馬は渋々頷く。
正直、彼と口付けをするのは嫌いではなかった。むしろ好きだ。彼の唇は甘くて柔らかくて、寂しい気持ちを満たしてくれるような感覚になるから。
「ま、まぁ……キス、くらいなら……」
「ふふっサンキュ。ソウマ」
嬉しそうな笑顔を見せ、リチャードは壮馬の瞼にそっと唇を落とした。
「で、でも……キス……だけですからね?」
もう一度念を押すとリチャードはわかっていると頷いた。
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