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怒ってる? 7

それから二人は初めて関係を持った日の時のように、他愛のない話をした。 試合の事、昨日見たテレビ番組や街中で見かけた出来事。本当にどうでもいいような会話をぽつぽつとしながら、穏やかな時間を過ごした。 最初はまたいやらしい事でもするのでは?と警戒していた壮馬だったが、話題が豊富でトーク力のあるリチャードとの会話は楽しく、気付いたら自然と笑みが溢れていた。 時折、肩を引き寄せられてドキリとさせられる時もあるけれど、それも彼なりのスキンシップの一つだと思えば、やたらに警戒している自分の方がおかしいような気がしてくるから不思議だ。 どうも彼は人の髪を触るのが好きなようで、アルコールを飲みながら壮馬の頭頂部を何度も梳くように撫でてくる。 これは、……こんな事をされたら勘違いしてしまう女子アナも多そうだ。なんて他人事のように思っていたら不意にリチャードの指先が壮馬の耳介に触れた。 「んっ……っ」 突然、耳を触られてビクリと肩を震わせると、リチャードは楽しそうにクスクスと笑った。 「な、なんですか?」 「いや? そう言えばソウマは耳が弱いんだと思いだしてね」 言いながらふにふにと耳朶を揉まれてぞわりと肌が粟立つ。 「ちょ……っ、ぁ……っ」 擽ったさに混じった僅かな快感に吐息が漏れる。嫌だと言うように身体を捩って逃れようとするが、逃がさないとばかりに反対の手で腰を掴まれてしまう。 「ソウマは可愛いな」 「ちょ、ちょっと! 今日はそう言う事しないって約束……っ」 「あぁ、だから触るだけ、だろ?」 「~~ッ」 しれっと悪びれた風でもなくそんな事を言いながら、耳をいやらしい手つきで撫でられて、ぞくぞくと背筋を這い上がってくる何とも言えない感覚に身体が震える。 口を開けば、変な声を上げてしまいそうになって慌てて唇を噛んだ。 「っ、ふ……ッ」 「ソウマは本当に感じやすいんだな。耳だけでこんなに蕩けた顔をしてしまうなんて……」 「……ッ、るさ……っ」 自分でも分かっているのだからわざわざ言葉にしないで欲しい。壮馬は涙の溜まった瞳でキッとリチャードを睨みつけた。するとリチャードは 「そんな顔をしても逆効果だという事に気付いた方がいい」 と困ったような表情を浮かべるだけだ。

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