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怒ってる? 14

「なんだ? したく無いんじゃなかったのか?」 憎たらしい位の笑みを浮かべて見下ろしてくるリチャードを、壮馬は恨めしそうに見上げる。 散々煽って焦らすだけ焦らして、あっさり退くなんて……。 (このサディストめ……っ) リチャードは壮馬の隣に腰掛けると、壮馬の髪を優しく撫でてきた。 「ソウマが嫌がる事はしたくないからなぁ」 なんて嘯き、悪戯に耳を弄ってくる。壮馬はむっとして唇を尖らせた。 「……嫌がっているように見えました?」 「あぁ、凄くな」 「っ……」 (そんなわけないのに……っ) 本当はもっとして欲しいと思っているのに、そんな恥ずかしい事口に出したことが無いし、言えるわけがない。 壮馬は唇を噛み締めながらリチャードを睨み付けてやると、彼は楽しげに喉の奥で笑い、額に口付けを落としてきた。 「本当はわかってるくせに……っ」 「何の事かな?」 「~~~ッ」 いけしゃあしゃあと返され、壮馬は悔しさのあまり顔を背けた。どうして今日に限ってそんな意地悪な事ばかり言うんだ。 「もしかして、期待していたのか?」 「……ッ、ち、違いますっ」 「そう? なら仕方がないな。俺は自分の部屋に戻るとしよう。ソウマはこのまま寝てしまうといい」 そう言って部屋を出て行こうとするリチャードの袖を、壮馬はベッドから転がり落ちる勢いで掴んで引き止めた。 このままの状態で、寝れるわけがないじゃないか。 「……っ、本当に……意地悪ですね……っ」 ぎゅっと袖を掴んだまま、恨めしそうにリチャードを見上げると、振り返った彼が愉快そうに目を細めふっと口角を上げる。

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