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寂しい 6

「あれ? お兄ちゃん。顔赤くなってるけど……? 監督と何の話してんの?」 「……ッ」 『どうした、ソウマ? 誰かいるのか?』 「い、妹です。友達と正月早々遊びに行くのに便利だからって泊りに来てて……」 『へぇ。妹さんと仲が良いんだな』 「ま、まぁ……」 別に仲がいいわけではないと思う。年頃の彼女は、ただ単に交通の便がいいウチをタダで泊まれるホテルか何かと同じように思っているだけだ。 「酷いなぁ、そこは一人身で寂しい思いをしてるお兄ちゃんを慰めようとしてる可愛い妹って紹介するべきでしょう?」 「出来るわけ無いだろそんなの!」 思わず声を荒げてしまいハッと我に返る。だが、そんな事を言ったら、リチャードにあらぬ誤解を与えかねない。 『……ソウマ』 案の定、リチャードの声が僅かに変化した。 微妙な沈黙が何とも居心地が悪い。 『ソウマは、明日、明後日は何か用事があるのか?』 「え? いえ……。特には。正月が終わればまたシーズンの準備をしなければいけないので、のんびり家で過ごすつもりですよ」 『そうか……』 彼はそれっきり何も話さなくなった。パソコンでも弄っているのか時折、カチ、カチッとクリックする音が静かな部屋から聞こえて来る。 「えっと、監督?」 『おっと、すまない。 あぁ、ちょうどカウントダウンが始まりそうだな』 そう言われてテレビの方に目をやると、丁度、画面の向こうから「10、9、8……」というカウントダウンが聞こえて来た。 『いよいよだな』 「そう、ですね……」 遠く離れた異国の地に居るリチャードとこの瞬間繋がっているのは、何だか不思議な気分ではある。 残り2秒になった時、突然リチャードが口を開く気配がした。

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