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寂しい 8

翌朝、スマホの通知音で目が覚めた。 「……ッ!?」 鳴り続ける着信音。ハッと飛び起きて枕元にあったスマホを手に取り画面を確認すると、リチャードからの着信だった。 「監督……?」 上手く働かない頭で思わい瞼を擦りながらスマホを耳に押し当てる。 「HEY ソウマ。爽やかな朝だね」 「……おはようございます。爽やかかどうかはわかりませんが、随分テンションが高いですね」 朝っぱらから何なんだ。こっちはまだ眠いのに。と文句を言ってやりたいが、リチャードの声を聴いているうちに段々覚醒して来て、思考がクリアになって来た。 「なんだ、まだ寝ていたのか? もう10時だと言うのに」 「別にいいじゃないですか。お正月くらいゆっくりしたって……と言うか、何なんです? そっちはもうすぐ夜でしょう?」 「あぁ、その事なんだが……急ぎで成田まで迎えに来てくれないか」 「…………はい?」 壮馬は思わずポカンと口を開けた。成田……って、成田、だよな? なぜ、空港なんかに行かなければいけないのか見当もつかずに黙っていると、電話の向こうでリチャードがくすりと笑った。 「昨日、キミと電話で話をしたら無性に会いたくなってね。幸い、直行便が空いていたんで勢いで飛行機に飛び乗ってしまったんだ」 「ち、ちょ、ちょっと待ってください。貴方今、何処にいるんですか!?」 「だから、成田だが?」 「…………」 開いた口が塞がらない。勢いで行動するにも程があるだろう。 「とにかく、出来るだけ早く迎えに来てくれ」 「はぁ……。わかりました」 壮馬はリチャードの強引さに半ば呆れながら電話を切った。 と言うか、あの人は馬鹿なのだろうか? 自分の日本での知名度を知らないはずが無いのに。 まぁ、迎えに来いと言われていそいそと準備をしている自分も大概だとは思うが……。 別に、好きだから迎えに行くわけじゃない。 たまたま暇だったからだし、それに、早く行かないと空港が大変な事になるだろうからだし。 そう自分に言い訳しながら、壮馬は手早く出かける支度をして家を出た。

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