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寂しい 14

怪しげな玩具を隠し持っていると思われるのはなんだか不本意極まりない。 仕方なく壮馬はそのままの部屋へと彼を案内することに決めた。 「散らかってても笑わないで下さいよ?」 「笑わないさ」 「本当ですね!?」 「約束する。だから、そんなに強く腕をつかむな」 リチャードが苦笑する。確かに強く腕を掴んでいた事に気づき、慌てて放すと、リチャードはフッと微笑んで壮馬の頭をそっと撫でた。 「そんなに怒らないでくれ。俺なりにソウマの事が知りたいだけなんだ」 「……ッ、またそう言う……。口説くなら他を当たればいいのに」 「俺は、ソウマの事をもっと知りたいとだけなんだ」 この天然人タラシが。そんな事をさらりと言われたら、勘違いしてしまいそうになる。これ以上何も言われない内に部屋に逃げ込みたい。そう感じた壮馬は、足を進め、自宅の玄関前まで行くと、ポケットから鍵を取り出し玄関を開けた。 「どうぞ。あぁ、玄関で靴は脱いでください。スリッパはそこに――」 「なんだ、いい家じゃないか……。勿体ぶるから何かあるのかと思っていたのに、まるでモデルルームみたいだな」 「ありがとうございます」 荷物を置いて辺りを見渡し窓辺へと駆け寄る姿は、何処か子供のようで壮馬は思わず全身の力を抜いた。 自分だって日本の生活が長いだろうし。そんなに珍しい物件ではない筈なのに、何がそんなに彼の興味を引くのだろう? なんだかとても気恥ずかしくなる。 「今、何か飲み物淹れるのでゆっくりしててください。コーヒーでいいですか?」 キッチンでケトルに水を入れお湯を沸かし始めると、リチャードがゆっくりと此方に近づいて来るのがわかった。 そのまま背後から抱きしめられ、肩に顎を乗せて来る

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