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さびしい 15
「ちょっと、何なんですか」
「コーヒーより、ソウマが食べたい」
「はっ!? ぁっ……」
軽く耳に口付けられ、驚いて振り向くと同時に目前に顔が迫っていた。
慌てて身を引こうにも、身体をしっかりと抱えられていて身動きが取れない。
「ちょ、まっ……んんぅっ」
静止する間もなく唇を重ねられ、あっという間に舌が口内に潜り込んで来た。奥へと逃げる舌を絡めとられ、頬の内側や歯列をなぞられるとぞくんと怪しい痺れが腰にくる。
「ふぁ……んンっ、はぁ……く」
ジンと唇が痺れるほどキスをして、顔を離した途端にがくりと膝が崩れる。
腰に痺れが来て立っていられず、リチャードに支えられてようやく立っているような状態だ。
「おっと……大丈夫か?」
心配するそぶりを見せながらもリチャードの顔は笑っていた。
「もぅ! いきなり何するんですかっ!」
腰が砕けて力が入らない状態では何を言ったって無駄だとはわかっていても、文句を言わずにはいられない。
「でも、気持ちよかったんだろう?」
図星を突かれぐっと押し黙ると、リチャードはにやりと笑った。
「だったらいいじゃないか」
「良くないですっ。このまま放っておいたら絶対に此処でする気でしょう!?」
「んー。まぁ、ソウマがどうしても嫌だと言うのなら我慢するが?」
そう言ってはいるが、この顔は絶対我慢する気がない顔だ。その証拠に、壮馬の身体をシンクに凭れ掛けさせて太腿の際どい部分をいやらしく撫でまわしてくる。
「全くっ! 欲求不満なんですか? だったら僕で発散しないで風俗にでも行けばいいのに」
「酷いな。俺はこんなにも壮馬を愛していると言うのに」
「あ、愛って……っ自分で言ってて恥ずかしくないんです? と言うか、貴方が好きなのは僕じゃなくて、僕の身体でしょう?」
自分で言って虚しくなってくる。でも、たぶん事実だ。
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