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寂しい 18
「なら、向こうで恋人でも作ればよかったんじゃないですか?」
「酷いな。誰でもいいって訳じゃない。ソウマがいいんだ」
「またそんな事を言って……。貴方なら相手には困らないでしょう? それなのに――」
「生憎と、ここまで心を奪われる相手に出会えたのは初めてだからな」
そう言うとリチャードは壮馬の手を取り、そっと指先に口づけを落とした。
「い、意味がわかりませんっ!」
慌てて手を引っ込めると、リチャードは残念だとばかりに肩をすくめてみせる。
「俺はずっとソウマとこうしていたいって言っているんだ」
「正月早々笑えない冗談はよしてくださいっ! それに、何度も言ってますが僕は男です!」
自分に彼を虜にするような要素があったとは到底思えない。 リチャードには情けない所しか見せていないし、簡単に流されて身体を許してしまうような曖昧な関係だ。
こんな関係は間違ってる。そう思って何度もリチャードから離れようとしたけれど、結局いつも流されてしまうのだ。
壮馬は俯き唇を噛んだ。
「冗談なんかじゃない。本気さ」
俯いた顎を持ち上げられ、熱を帯びたアイスブルーの瞳に見つめられて動けなくなる。心臓の鼓動が速くなって、息が詰まる。
「…………どうして……。僕なんですか?」
「知りたいのか?」
顔を覗きこまれて、唇が触れ合いそうになるほど近くに顔を寄せられた。
「ッ、や、やっぱりいいですっ!」
なんだかとんでもなく恥ずかしい事を言われそうで、壮馬は慌ててリチャードの胸を押しのけ、反射的に俯く。頬が熱い。心臓が早鐘を打ち、頭の中にドクドクと音が響く。
「遠慮するなって」
「け、結構ですっ。って言うか、離れて下さいっ」
腕を掴まれ、背後から覆いかぶさるように抱きしめられて鼓動が跳ね上がる。
「ッ!?」
「……ソウマの身体……熱いな」
耳元で低く囁かれ、ぞくぞくと何かが背中を駆け上がる感覚にぎゅっと目を瞑り俯いた。リチャードは壮馬の耳朶に唇を寄せると、ちゅくと音を立てて耳殻を食んだ。
「……ぁっ」
濡れた感触が首筋を這い、耳の裏側をきつく吸われる。チリッとした痛みの後、生温かく柔らかい物がぬるりと這う感覚と共に、今度は優しく舌先で愛撫される。
「ちょ、監督ッ……んんっ」
首だけで振り向くと、今度は唇を塞がれた。何度か啄むようなキスを繰り返した後、リチャードは壮馬の唇の隙間から舌を侵入させ、強引に歯列をなぞり口腔内を弄った。舌を絡め取られ、じゅるりと唾液ごと吸い上げられると、脳が蕩けるような感覚に意識がぼうっとしてくる。
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