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秘密の自主練 2

「だからって、あんなに何度もする必要無いじゃないですか」 「何言ってるんだ。ソウマが”もっと~”って強請るから、俺はそれに応えただけだ」 「なっ!? 僕はそんな事言いませんよ。幻聴が聞こえるなんて一度病院に言ってみたほうがいいんじゃないですか?」 自分からそんな恥ずかしい事を言うなんて考えられない。いや、考えたくな……と言うか、あるはずがない。 「どうだかな。そんな事言って、俺のを強請っていやらしく腰を振っていたくせに」 「……ッ! そ、そんな事知りません!」 「なんだ覚えていないのか。まぁ、そうだろうな。記憶が飛ぶくらい悦い思いをさせてやったんだから」 「……っ」 リチャードの指が顎にかかり上向かされる。少し垂れた淡いブルーの瞳に捉えられ、壮馬は敵に見付かってしまった小動物のように身動きが取れなくなってしまった。 自分から求めていただなんて絶対に認めたくない。だけど、もしかしたら……と言う思いもある。 断片的ではあるが、普段の自分では絶対に口走らないような言葉を沢山言ったような気もするから居た堪れない。 「あ、あれは眠かったし……監督が激しくするから……」 赤くなってしまった頬を誤魔化すように、俯いてもごもごと口籠れば、リチャードは目を細めてニヤニヤと笑う。 「嘘付け、俺が欲しくてしょうがなかったくせに」 「だ、だから……それはッ、……知りませんってば」 恥かしくてふいっと顔を逸らした壮馬を見て、リチャードは楽しそうに口端を吊り上げて、そっと耳元に唇を近付ける。 「ククッ、いいなその顔。もっとからかってやりたくなる」 「な……っ!」 「フッ、冗談だ」 チュッとおでこに軽く口付けると、リチャードは壮馬の頭をひと撫でしてから離れた。この人の冗談は心臓に悪すぎる。 「悪趣味な冗談はよして下さい」 「ハハッすまない。ソウマがいい反応をしてくれるからつい。そんな事より、朝飯を食いに戻るぞ。ソウマがランニングに行っている間にケータリングを頼んでいたんだ」 「そんな……わざわざ頼まなくてもよかったのに」 「俺がキミと二人で食べたかっただけだから気にするな」 またそんな事を恥ずかしげもなく……。愛し気に目を細められ戸惑いながらもリチャードの後ろをついて歩く。 意地悪だったり優しかったり、本当によくわからない人だ。でも、困ったことに一緒にいるのは苦痛では無い。 「早くこないとソウマの分の飯も食っちまうぞ」 「待ってください、今行きますから!」 さっさと行ってしまいそうなリチャードの後を壮馬は慌てて追いかけた。

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