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01-8.
「一般的に求められるような条件はあげましたよ。それ以外にあると言うのならば、ぜひとも教えていただきたいものですね」
礼儀のなっていない行動をされたとしても、客人に注意をするわけにはいかない。
……意味が分からない。
レオナルドはそれを見て見ぬふりして、条件が提示されるのを大人しく待つ。
「詰めろ」
レオナルドはジェイドに言われた通り、左側に身体を寄せる。
……なぜ、隣に座るんだ?
一人掛け用として作られているソファーだが、身体を寄せ合えば大人の男性が二人座れる大きさはある。
……理解ができない。嫌がらせつもりか?
強引に作らせた場所に腰を掛けたジェイドはレオナルドの頬を掴み、強引に視線を合わせさせる。
「俺と結婚しろ」
告げられた条件に耳を疑った。
……結婚? 誰が、誰と?
言葉が足りないだけだろうか。
聞き返さなくてはいけないとわかっていながらも、レオナルドは告げられた言葉の意図を理解できずにいた。
「俺と結婚して子どもを産んでくれ。子どもは三人か四人くらいがいい。男と女、両方生まれると楽しいだろう。俺の為に侯爵家に嫁に来い」
ジェイドの眼は本気だった。
その目を向けられ、勢いよく語られるジェイドの将来の希望を聞かされてしまえば、先ほどの言葉の意図に嫌でも気づく。
「俺は男ですよ?」
反射的に口にしていた言葉だった。
「見ればわかる」
ジェイドは愛おしそうにレオナルドの頬を撫ぜる。
「そうですよね。……親戚に似た顔立ちで年頃の女性がいるのですが、紹介をしましょうか」
頬を撫ぜられる感覚に寒気を覚えつつ、レオナルドは冷静を装った。
「俺はお前と結婚をすると言っているんだが?」
……正気を失っているのか? この男。
婚約者を寝取られたことで気が狂ったのだろうか。近年、諸外国に合わせるようにして同性婚が認められたとはいえ、それを実行する貴族は少ない。
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