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「同性婚は法律で認められているし、王国や周辺国を含めても珍しいことでもない。子どもは適切な処置をすれば、男でも産めるようになる魔法があるのは有名な話だろ?」  ジェイドはレオナルドの頬から手を離した。  慈しむように撫ぜていた手が離れたことで安堵したのだろう。露骨に距離を取ろうとするレオナルドに対し、ジェイドは遠慮なく距離を縮めた。 「法律のことは知っています! そのような処置があることも知っています!」  距離を取る為に立ち上がろうとしたが、腕を掴まれる。 「ですが、それは同意の上で――」  強引に距離を縮められ、唇を奪われた。  抵抗をしようとするレオナルドの後頭部に手を回され、逃げ道を奪われる。反射的に見開いた眼には獲物を射止めようとする獣のようなジェイドの瞳が移るだけであり、それはレオナルドの恐怖感を煽った。  ……最悪だ!  振り払うことができないと悟ったのだろう。  レオナルドはせめてもの抵抗だと言わんばかりに固く目を閉じた。唇を合わせるだけの口付けが早く終わることを信じるレオナルドとは対照的に、目を開けたままのジェイドは少しだけ唇を離し、解放されたと安堵するレオナルドの唇を舐めた。 「うっ」  明らかな嫌悪の声だった。  レオナルドは嫌で仕方がないと言わんばかりに眉を潜める。 「俺は本気だ」  ゆっくりと離れた。 「レオナルド」  ジェイドは愛おしそうにレオナルドの名を口にする。 「舐めただけだろ? そんなに可愛い顔をするなよ」  バカにされているのだろうか。  解放されたことを理解したのか、レオナルドは目を開ける。ジェイドに向ける目は明らかに軽蔑が籠ったものだった。 「……最悪だ」  レオナルドは思わず袖で唇を拭う。

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