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02-1.

「そ、それで、どうだったんだ?」  丁重にジェイドを見送った後、レオナルドはトムに呼び出されていた。 「機嫌は良さそうだったが……」  帰り際、ジェイドの機嫌を損ねていなかったことを執事から聞いたのか、こっそり覗き見をしていたのか、トムは落ち着かない様子だった。 「とんでもない条件を告げて満足して帰られましたよ」  レオナルドは執務室に用意されている客人用のソファーに座る。  疲れ果てたと言わんばかりの態度を見せるレオナルドに対し、トムは何を思ったのか、傍にいた執事に甘い菓子を用意するように言い付けていた。  ……成人を過ぎても子ども扱いのままか。  世間知らずだと言われるのは慣れている。  レオナルドが表舞台に出ることを酷く嫌っている七歳上の兄、セドリックが都合の良い御託を並べて学院の入学を拒否したことによる影響が大きいのは、レオナルドも理解をしていたが、どうすることもできなかった。 「そ、そうか。それで、条件はなんだったんだ?」  言い付け通り、菓子を手配している執事の目を盗むようにしてトムは問いかける。 「俺を嫁に欲しいと言われました」  レオナルドは要求されたことを隠さずに口にした。 「結婚をして子供を産んでほしいとも言っていましたね。世間知らずの俺をからかっているのかと思えば、本気だと口説いてきましたよ」  レオナルドはやっていられないと言わんばかりの表情を浮かべる。  要求は聞いた。それをどうするのか、判断をするのは伯爵であるトムの役目だ。  ……間抜けな顔。  トムは目を見開き、口も情けなく開いていた。  レオナルドがそうであったように言われた内容を理解できていないのだろう。 「受け入れないのならば、慰謝料とそれなりの見せしめを要求すると言っていました。侯爵家の権力を限界まで使ってくるつもりのようでしたよ」  殺害予告をしていたことは口にしない。  トムの性格を考えれば、そのまま気絶をしかねないからだ。 「明日、返事をすることになっています」  レオナルドは執事が運んできた菓子を掴む。 「父上。父親としてではなく、伯爵として判断をなさるべきかと思います」  初めて対峙した相手だった。しかし、ジェイドの言葉は冗談ではないだろう。  判断を誤れば伯爵家の血筋は絶やされてしまうことになりかねない。

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