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02-2.

「お前はそれでいいのか……?」  トムは情けない声を出した。 「伯爵として判断をするなら、答えは決まっているようなものだと、賢いレオナルドならば、わかっているだろう?」  五十歳を過ぎてもなお、貴族として甘すぎるところがある。  トムは今にも泣きそうな顔を浮かべていた。 「わかっていますよ、父上」  まるで先の展開がわかっているかのような振る舞いと正確な判断を下すことができる長兄のセドリックがこの場にいたのならば、きっと、状況は変わっていたことだろう。 「俺も大切な家族は守りたいんです」  家族に対しては甘すぎるところのある父親をよく知っているからこそ、レオナルドは愛想笑いを浮かべて見せた。 「大丈夫です。さすがに命までは取らないでしょうから」  ジェイドは脅迫を口にしていた。  伯爵家の人間を殺すと発言をしていたのは冗談ではないだろう。それでも、レオナルドのことだけは殺すつもりはないようだった。 「念の為、交渉が成立をするまでの間は兄上には秘密にしておいてください。あの人のことだから仕事を放棄してでも戻ってきそうなので」  レオナルドは用意された菓子を齧る。 「……情けない父親でごめんな、レオナルド」  菓子を齧るレオナルドに対して、トムは申し訳なさそうに肩を落とした。  ……成人を過ぎた俺を結婚させるのは悪いことではないのに。  伯爵として選ばなくてはいけない答えは決まっている。  それを理解しているからこそ、トムは他の選択肢を用意することができない自分自身が情けなく手仕方がないのだろう。 「侯爵家の提案を受け入れよう。それでアルフレッドがしたことはなかったことにしてもらえないか、聞いてみてくれないか?」 「わかりました。提案してみます」 「すまない、レオナルド。お前を生贄にするような真似を……」  トムの眼から涙が零れ落ちる。  それに対してレオナルドは困ったように笑いかけ、ハンカチを差し出した。 「大丈夫ですよ、父上。なにも心配はいりませんから」  ハンカチを受け取ったトムは何も言わない。  十年以上、セドリックの指示により、伯爵邸に籠って過ごしてきたのだ。それよりも窮屈で退屈な日々はないだろう。

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