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02-3.

* * *  翌日、ジェイドが伯爵邸に到着した。  対談の邪魔になると言い聞かせ、昨日と同様に執事には部屋から出て行ってもらっている。万が一、遭遇をしないようにと両親とアルフレッドには別邸から出ないように朝食時に伝えたことを思い出す。  ……これしか方法はなかった。  侯爵家の機嫌を損ねたのは事実だ。  王族と強いつながりを持っている侯爵家の人間がなにをしても、揉み消すことができるのも事実だった。それらを踏まえ、トムと対談をした結果を思い出す。  ……伯爵家の為だ。  提示された条件を受け入れる。  そうすれば、ジェイドは和解に応じるだろう。 「答えは出たか?」  ジェイドは昨日と同じ場所に座った。  それに対し、レオナルドは立ったままだ。 「条件に応じる。結婚してやるよ」  丁寧な言葉は出なかった。  普段通りの言葉遣いで対応してほしいと願ったのはジェイドだろうと言わんばかりの視線を向ける。 「本当だな?」 「本当だ。その代わり、和解に応じてくれ」  すべては伯爵家の為になることなのだと自暴自棄になってしまっているのかもしれない。  ……他の条件を提示してくれたら楽なんだが。  自暴自棄になり、従順に応じるのならば興味がないと口にすることを願う。  それが限りなく可能性の低いものであるとはわかっていた。しかし、伯爵家の為とはいえ身売り同然のことをするのはレオナルドも不服だった。  ……父上が生贄などと言うからだ。  昨日、トムが涙を流しながら口にしていた言葉が妙に引っかかる。  その言葉さえなければ、レオナルドは伯爵家の為ならば仕方がないことだと簡単に受け入れてしまえただろう。 「もちろんだ。すぐにでも書面を送ろう」  ジェイドはご機嫌だった。  嬉しくて仕方がないと言いたげな表情を見る限りでは、昨日の発言がただの冗談であったようにも感じてしまう。

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