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02-4.
「それならいい。話は終わりだ。今日はもう帰ってもらえないか」
レオナルドは視線を扉に向ける。
応接室には使用人を配置していない。ジェイドが二人だけで話を進めたいと発言した為、それに大人しく従ったのだ。
「それは出来ない」
ジェイドは当然のように断った。
「なぜ?」
レオナルドは眉を潜める。
……まだ何か要求するつもりか。
昨日、条件は一つだけであると明言していたのだ。その為、大人しく結婚を前提とした婚約をするのならば他の条件を提示しないだろうと判断していた。
「条件を受け入れた証拠が欲しい」
「婚約を認める内容の書類が欲しいのならば、父上に頼んでこよう。少しの間、待っていてくれるのならば、すぐに準備をする」
「俺から申し込むから、書類はいらない。それよりも別の形で証明してほしい」
ジェイドは手招きをする。
「こっちに来い」
……ろくでもない目に遭う気がする。
嫌な予感がした。
しかし、レオナルドは逆らうわけにはいかなかった。
……迷うな。覚悟は決めてきただろ。
ここで機嫌を損ねてしまえば、条件が変更されてしまうかもしれない。
「そこに座れ」
床に座ることに対し、嫌そうな表情を浮かべたものの、文句を言わずにジェイドの目の前に座る。
「なんでも従うんだろ?」
ジェイドは試しているのだろうか。
……反抗をすれば何をされるかわからないな。
見せしめだと言わんばかりに伯爵家の人間に手を出そうとするかもしれない。
「それが条件だというなら、仕方がないから従ってやるよ」
レオナルドに選択肢などないのだ。
……動揺するな。
自分自身に言い聞かせる。
……俺に命令をする相手が、兄上からこの男に変わっただけだ。
自由を奪われることは慣れている。
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