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01-4.
「かしこまりました」
ジェームズは手紙を受け取り、手帳の間に挟み、懐の中に隠す。
「それでは手紙を届けてまいります。坊ちゃま、おやつを用意いたしますが、ご希望のものはございますか?」
「手が汚れないものならばなんでもいい」
「かしこまりました。それでは、失礼いたします」
ジェームズは軽く頭を下げて扉に向かって歩き出す。
……デートか。
もう一度、送られてきた手紙に視線を落とす。
何度も早く会いたいと書かれている手紙を何度読み返しても、頬が熱くなる。
出会った日の印象も、次の日の印象も出来ることならば忘れてしまいたいくらいの出来事だ。それなのにもかかわらず、レオナルドは珍しく浮かれていた。
……この手紙はすぐに読めるところに仕舞っておこう。
手紙を撫ぜる。
そして、宝物を仕舞うかのように封筒の中に戻して、机の引き出しを開けた時だった。
ジェームズが執務室を離れようと扉に手を伸ばしたのと同時に扉が三回叩かれた。その音に応えるように、急いで引き出しを閉まった。
「誰だ」
レオナルドの表情が引き締まる。
「確認いたします」
ジェームズは少しだけ扉を開ける。
そして、扉の先で立っていた人物を確認して大きく頷いた。
「アルフレッド坊ちゃまがいらっしゃいましたが、いかがいたしょうか?」
「なんだ。部屋に入れても問題はないよ」
「かしこまりました」
扉を全て開ける。
廊下に立っていたアルフレッドの形相は今にも他人を殴りそうなものだった。部屋の主であるレオナルドが許可をするのを待っていたと言わんばかりに大股で近づいてくる。
それに対し、ジェームズは無言で頭を下げて執務室を出ていった。
「怖い顔をしてどうしたんだ」
レオナルドは問いかける。
三兄弟の中ではもっとも体格に恵まれているアルフレッドであり、誰よりも人付き合いがいい。これほどに怖い顔をしているのを見るのは久しぶりだった。
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