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01-5.
「レオ兄さん!!」
アルフレッドは執務室の机を両手で叩く。
「本気で悪魔と結婚するつもりなのかよ!!」
「悪魔?」
「悪魔だろ!! 兄さんに求婚をした屑野郎のことだよ!!」
……納得したのではなかったのだろうか。
レオナルドが求婚の申し出を受け入れることは当主であるトムが判断をしたことだ。それに関してはアルフレッドにも、トムから説明をしておくと聞いていたことを思い出す。
「レオ兄さんが結婚する必要なんかないんだ!!」
癇癪を起したかのように感情的になっているアルフレッドに対し、レオナルドは渋々と言いたげな顔をして立ち上がり、ソファーに誘導をする。
「座って話を聞くよ」
感情的に何度も机を叩かれていては、その内、手が痛くなるだろう。
アルフレッドが傷つくことを厭うレオナルドの意図に気付いたのか。
それとも、無意識なのか。
アルフレッドはジェイドに対する文句を言いながらも、レオナルドの後を追いかけるようにソファーに座った。
「一週間前に成立した話だろう。急にどうしたんだ」
「俺は父上から三十分前に聞かされたんだ!!」
……父上のやりそうなことだ。
言い訳を付けて、話を先送りにしようとするトムの姿が思い浮かぶ。
兄弟の中ではもっとも友好的である。しかし、兄たちのことを慕っているアルフレッドは兄弟のことになると豹変してしまったかのように感情的になる。
「そうか。父上から説明があった通りだ」
レオナルドは、たいしたことはないというかのように話す。
「心配してくれたのは有り難いが、相手は侯爵家だ。家を守る為には仕方がないことだということはわかるだろう?」
まだ気持ちが収まりそうもないアルフレッドの頭を撫ぜる。
……二歳しか違わないのに大きくなったな。
成人を迎えたアルフレッドの頭を撫ぜるのは何年ぶりだろうか。嫌がることもなく、大人しく撫ぜられているアルフレッドは不満そうな目を向けていた。
「……レオ兄さんも俺を怒らないのかよ」
頬を膨らませる。
慕っている兄たちの前だけは子どものような仕草をしても怒られないと知っているからこその行動だろう。
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