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01-11.
「方法はいくつかある」
レオナルドはアルフレッドを慰めるように優しく頭を撫ぜ続ける。
「出産して育てるのが最善の方法だ」
同意の上で行われた行為ならば妊娠を恐れないだろう。
「だが、話を聞いている限りでは同意して行ったことではないのだろう?」
会いたくて会いに行っているわけではないと言っていた言葉は、アルフレッドの本音だったのだろう。
一夜の過ちがすべての元凶だったとはいえ、家族を守る為に必死になっていたのだ。脅迫に怯えながらも従うことしかできなかったのだろう。
「アル。大丈夫だ。兄さんも出来る限りのことを協力するから」
兄弟の中では一番体格に恵まれていたアルフレッドは俯いたままだ。
それは二歳下の弟を可愛がっているレオナルドの庇護欲を煽る。
「答えにくいかもしれないが、教えてほしいことがある」
追い詰めないように注意をしながら、優しく問いかける。
「相手は女性か?」
「……違う」
……男性が相手だったのか。
それならば、アルフレッドが妊娠をしているわけがないと断言できるはずである。
同性が相手でも妊娠をする術は確立されている。
様々な制約が付けられているものの、魔力を持っている相手同士ならば成立する魔法が存在しているのは誰もが知っていることである。
「それならば、妊娠をする可能性があるのは相手か?」
レオナルドの質問に対し、アルフレッドは自身の腹を押さえながら首を左右に振って否定をした。
「……そうか」
声が低くなる。
「強要されたのか……?」
最初は酒の勢いだったのかもしれない。
それを脅迫材料として何度も強要されたのかもしれない。
……気づいてやれなかった。
レオナルドはアルフレッドの変化に気づけなかった自分自身が許せなかった。
「すぐに魔法薬を作ろう。それからジェイドに今すぐに止めるように伝えよう」
レオナルドはアルフレッドを抱き締める。
「ごめんな、アル。辛かっただろう」
レオナルドのその言葉に対してアルフレッドは涙を流した。
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