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02-2.
「父上にすべてを伝えろ」
「かしこまりました」
レオナルドはアルフレッドの制止を振り切り、歩き出す。
ジェームズは当然のように扉を開けて、廊下に誘導をする。
「レオ兄さん!!」
アルフレッドは慌ててレオナルドの後を追いかける。
「これは俺だけで何とかなるから!」
珍しく早足で廊下を歩いていくレオナルドを説得しようとするが、レオナルドは聞く耳を持たない。
「兄上には連絡はしたか?」
アルフレッドのことを振り切るつもりなのだろう。
レオナルドは指示を与えなくても当然のように傍にいるジェームズに問いかける。
「先ほど、セドリック坊ちゃまからの手紙をご当主様にお届けしたところでございます。恐らく、近日中にはお戻りになられることかと思われます」
ジェームズは淡々と聞かれたことに答えた。
「そうか。それはよかった」
レオナルドは安心したように笑みを零した。
外交の仕事の為、海外を行き来している兄のセドリックならば良案を思いつくだろう。なにより、問題が起きる度に上手く解決方法を導き出してきたセドリックが傍に居てくれるだけで心強い。
……兄上が帰宅する時期で良かった。
二か月に一週間ほど伯爵領に戻ってくるセドリックは、毎回、レオナルドたちに会いたくて仕方がなかったと言わんばかりの形相で帰ってくる。
それを思い出したのだろう。
毎回は勘弁してほしいと思っていたが、今回ばかりは心強かった。
「なんにもよくねえって!」
それに対してアルフレッドは悲鳴に似た声をあげた。
問題を引き起こした張本人であるアルフレッドは、セドリックに合わせる顔がないと思っているのか。それとも、他に隠していることを発覚してしまうことを恐れているのだろうか。
「セド兄さんが帰ってくる時は寮に泊まるからな!!」
「かしこまりました。お荷物はいかがなさいますか?」
「最低限のものは寮に置いてあるからそれで過ごす。なんかあったら連絡するから追加で送ってもらう!」
アルフレッドの言葉に対して、ジェームズは頷き、メモを取る。
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