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02-4.
「俺に任せてくれよ」
……アルに甘えられている。
レオナルドよりも少しだけ背が高いアルフレッドに、玩具を強請る子どものような眼で見られるとお願いを聞いてしまいたくなる。
「坊ちゃま。我儘を聞き届けてはなりませんよ」
アルフレッドの言葉を聞き入れそうになることがわかっていたかのように、ジェームズはレオナルドを呼び掛けた。
「アルフレッド坊ちゃまは四カ月ほど前に成人を迎えられました。十八の頃から第四騎士団に所属をしている立派な成人男性でございます」
ジェームズは淡々と事実を告げる。
「ご兄弟とはいえ、必要以上に甘やかすべきではないでしょう」
ジェームズの言葉を聞き、レオナルドは頷いた。
……それもそうか。
二十年近くの間、レオナルドの世話役を務めてきたジェームズは常にレオナルドの為に働く。もちろん、主人であるカルミア伯爵家の者から指示をされた場合、それに従うことはあるが、優先順位は間違えない。
「今回の件をご当主様より任せられているのは、レオナルド坊ちゃまでございます。話をする権利を持ち合わせているのも、坊ちゃまであると考えるのが当然のことだとジェームズは思いますよ」
アルフレッドがよけいなことを言うなとジェームズを睨んでいても、素知らぬ顔をしてレオナルドの意思を貫くように助言するが執事であるジェームズのやるべきことである。
そう言わんばかりの態度を貫いていることにレオナルドは気づいていない。
「ジェームズの言う通りだ」
レオナルドは甘えようとするアルフレッドの背中を優しく叩く。
「俺に任せておけ」
胸を張る。
自信満々のレオナルドに対して、アルフレッドは諦めがついたようだ。
「……俺も同席していい? 大人しくしているから」
妥協案のつもりなのだろう。
「辛くないのならば構わないが」
「辛くなんかない。俺は大丈夫だから」
「それならいいんだが。辛かったらすぐに言うんだぞ?」
レオナルドは心配だったが、アルフレッドは問題ないと言い切った為、それを信じることにしたようだ。
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