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03-14.

「この辺りでいいか」  中央広場にはいくつか長椅子が用意されている。  開いているところに座ったジェイドの真似をするようにレオナルドも座る。  触れない程度に距離を保ちながらも、大人しく座るレオナルドの視線は渡されたまま味見をしていない果実に向けられている。 「酸っぱい……」  ジェイドは失敗したと言わんばかりの表情を浮かべた。  その声を聞き、レオナルドは目を見開いていた。 「毒見はしなくてもいいのか?」  貴族ならば毒見は必要である。  常にどのような危険が潜んでいるのか、警戒し続けなければならないと教育されてきたレオナルドはジェイドの行動が想定外だったのだろう。 「必要ねえだろ」  ジェイドは袋の中から赤色の果実を摘まむ。  今度は酸味が少なかったのだろう。変な顔はしなかった。 「それに毒見なんかする奴は連れてねえからな」 「……護衛騎士は?」 「俺がいれば問題ねえよ。これでも剣には自信があるからな」  ……そういえば、第二騎士団の副団長だったな。  王族の護衛任務を中心としている第二騎士団に抜擢されるのは、名誉なことである。侯爵家の嫡男ということもあり選ばれたのかもしれないが、副団長の地位に上り詰めるのには実力が必要になる。  騎士団は基本的には実力主義だ。  貴族であることを理由に入団をすることは可能だが、昇進は実力がなければ望めない。そのような場所で働いているのだということを思い出した。 「不安か?」 「いや。ジェイドがいれば何も問題がなさそうだと再認識したところだ」 「それは良かった」  レオナルドも袋の中から果実を摘まむ。  先ほど、ジェイドが口にしていた果実とは違うのだろうか。 「おっ、外れを引いたな」 「外れ?」 「そうそう。かなり酸っぱいから覚悟をして食べろよ?」 「わかった」  黄色の果実を迷うことなく口にした。  口の中に入れると忠告通り、果実特有の強い酸味がする。

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