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03-21.

「レオはー、まだ寝ないんだろー」  なにが楽しいのだろうか。  ジェイドは身体を起こしながら笑っていた。 「酒を飲み終わったら考える」  少なくともジェイドが寝入るまでは警戒を解くわけにはいかない。  レオナルドの皮肉交じりの言葉は通じていないのだろう。ジェイドは緩み切った笑みを浮かべていた。 「……酔っぱらい」  ……何がそんなに楽しいだと問いかけるだけ無駄だろうな。  酒が好きな人間にとって飲んでいるだけで楽しい気分にさせる飲み物だ。何がなくても楽しくなるのだから、ジェイドが緩み切った顔をしていても何もおかしいことではない。  ……逆ではなくて良かった。  レオナルドが酒に弱かったのならば、軽く一線を越えようとしてくることだろう。実際、アルフレッドが似たような状況下で問題を引き起こしたばかりだ。 「へへ、レオー」 「……なんだ」 「俺が守ってやるからなー」  頼りのない言葉である。  ……お前も頭を悩ます原因の一つなんだが。  手紙や馬車の中では気を許してしまったものの、この状況で油断をするほど状況が理解できないわけではない。 「さっさと寝ろ」  レオナルドはため息を零す。  ……多少は酒が抜けてきたのだろうな。  言葉は理解をしているのだろう。  ジェイドはレオナルドに対して両腕を伸ばしていたが、無視をする。それに反応をしたところで、ろくな目に遭わないのはわかりきっていることだ。 「レオ?」  ジェイドは首を傾げた。  似合わない仕草を見せられたところでレオナルドの態度は変わらない。 「歩けるなら自力で移動してくれないか」 「んー」  ジェイドは立ち上がる。  思考回路は鈍くなっているものの、足取りはそれほどに悪くはない。そのまま、近くにある寝具に座る。

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