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03-24.

* * *  いつの間にか眠りについていた。  寝惚けながらもソファーに移動はしたのだろう。 「レオナルド」  名を呼ばれる。  呆れたような声だった。それに気づき、レオナルドは目を開ける。 「……二日酔いか?」  レオナルドは視界に移りこんだジェイドの顔を認識して、反射的に口にしていた。ワイングラスで一杯飲んだだけだったが、ジェイドの酔い潰れた姿を思い出すと二日酔いを起こしていてもなにもおかしいことではない。  ゆっくりと身体を起こす。  視線は既に身支度を整えたジェイドに向けられる。身支度を整えるまでの間、レオナルドに触れることもしなかったのだろう。 「二日酔いはしてねえよ。それより、どうしてソファーで寝たんだよ?」  ジェイドはレオナルドに服を渡す。  袋に入ったままの状態を見る限り、新品のものを購入していたのだろう。 「いつの間にか寝ていた」  レオナルドは服を受け取りながら答えた。 「ん? 俺、ベッドに連れて行かなかったか?」 「連れ込まれていない。先に酔い潰れて寝ていただろう」 「……あー。いつもは違うんだ。今回は相性が悪かっただけで」  ジェイドは言い訳を口にしながら目を反らす。  ……度数は低いものだったと思うが。  王国民は酒を好む。その為、地方により個性豊かな酒がある。  首都イキシアは赤ワインが有名だ。最高品質の赤ワインが何本も用意されていたのは名産品を印象付けようとする宿の意図もあったのだろう。 「着替え終わったら呼んでくれ」  見られていると着替えられないだろうとジェイドは付け加えた。  ……ずいぶんと常識的な行動だな。  先週は別人だったのだと言われた方が納得もできる。  酒に飲まれても、一緒に寝ようと子どものような誘い方はされたものの、手を出されることもなく無事に一夜を過ごすことができた。  寝室から出ていき、扉を閉めた。  声をかけるまでは扉の外で待つつもりのようだ。  ……なにか企んでいるのか?  レオナルドは渡された衣類を確認する。

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