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03-26.

「一回だけだからな」  レオナルドは言われた通り、ゆっくりと回る。  その間も全身を見られている視線がくすぐったい。不快ですらある。 「……おい。言いたいことがあるのならば言ってくれないか」  レオナルドの言葉に対して、ジェイドは無言である。  無言のまま見つめてくる。  視線はレオナルドの腹部に向けられていることに気付き、反射的に見られている個所を自身の腕で隠す。 「隠さないで見せてくれ」  ジェイドの言葉に対してレオナルドは冷めた目を向けた。  ……変態臭いんだよな。こいつの言葉。  興奮をしているわけではなさそうである。  しかし、真剣な目で腹部を凝視されているのは洋服を着ていても、いやらしいことをされているかのような気分になる。  ……ろくなことは考えていないな。  知り合ってからの日数は短い。  それでも、何となくではあるものの、ジェイドの性格を掴めつつある。 「腹部がもう少し細かったか。いや、痩せたのか? 鍛えられて見た目が細くなった可能性もあるが、生活習慣を考えると食事量が減った可能性の方が高いな」  ジェイドの発言を聞き、レオナルドは数歩下がった。 「体質の問題か? いや、他のところも細くなっている可能性が……」  距離を取っていることに気付いていないことを考えると、ジェイドは独り言のつもりなのだろう。  ……気持ち悪い。  渡された衣類の違和感の正体に気付いた。  伯爵邸にある衣類は少々大きく作られている。年齢を考えれば、今後、身長が伸びる可能性は低いものの、セドリックの方針により少しだけ大きめの衣類が用意されるようになっている。  それはジェームズも知っているはずだ。  もしも、レオナルドの体格についての情報をジェイドに伝えていたのならば、伯爵邸にある衣類と同様に全体的に少し大きめのものが用意されるはずである。  ……自力で調べていたのかよ。  未だに独り言を言っているジェイドを見る目は冷たい。  視線に魔力が込められるのならば周囲を凍り付かせてしまっただろう。そう思うほどに冷めた視線を向けられていることにすら、ジェイドは気づいていないようである。

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