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01-6.

「それならば、せめて、サザンクロス公子の顔を見せてください」  アリシアの声は震えていた。  なぜ、レオナルドが殺されなくてはならなかったのか、凶行に至った経緯を聞かされても納得することなどできないだろう。それでも、レオナルドの遺体の行方がわかるかもしれない。  それに僅かな可能性をかけたのだろう。  アリシアの言葉を聞き、セドリックはアルフレッドを強く抱きしめる。両親の会話を聞き、状況を理解してしまったアルフレッドは声を押さえながら泣いていた。 「一度、納得いくまで、殴らせてくださいませ」  アリシアは自分自身が口にしている言葉も理解をしていないかもしれない。  衝動的な行動を抑え込もうする痛々しい姿を見ていられないと言わんばかりにトムは、アリシアから目を反らしたままだった。 「それはできない」  トムの言葉に対してアリシアは納得できなかったのだろう。  相手が愛する夫であることを忘れたかのような形相でトムの襟元を掴んだ。その手は震えている。  アリシアもトムが悪いわけではないことはわかっている。  それでも、愛息子を奪われた悲しみを堪えられなかった。 「ジェイド公子の遺体も見つかっていない」  トムは先ほど受け取った写真をアリシアに渡す。 「それが現場の証拠写真だ。従者が厳しい尋問に耐え、持ち帰ってくれた」  ほとんど何も残っていない荒れ果てた部屋だった場所の写真。  そこはレオナルドが最後にいた場所だった。 「魔法の痕跡からわかったことがある」  トムは淡々とした声で告げる。 「爆発は意図的に引き起こされたものだ。恐らく、ジェイド公子の死後に発動するように仕組まれたものだったのだろう」  トムは用意された椅子に座る。  呆然と立ち尽くしたまま写真を見つめているアリシアから視線を逸らしたまま、淡々と語られるのは全てが真実だった。 「二人分の命を対価として差し出した結果の爆発だろうと報告された。それがレオナルドの死因だ」  ……対価を必要とする大規模魔法。  トムの言葉に心当たりがあった。以前、学院で新たな研究を始めたとレオナルドの手紙に書かれていた内容と一致する。

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