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01-7.
……そうだ。
手紙の内容をはっきりと思い出した。
……共同研究者はジェイド・サザンクロス!
最終学年の三年生であるジェイドから持ち掛けられた研究だったはずである。
レオナルドは憧れていたジェイドからの誘いに喜び、その研究を成功させるのだと興奮気味に手紙に書かれていた。
「話は終わりだ。三人とも、部屋に戻れ」
トムの言葉に対してアリシアは俯いた。
写真を抱き締める。そこにはレオナルドの姿はないとわかっていても、抱きしめることしかできなかった。
「アル。行こうか」
セドリックは立ち上がる。
動揺をしたまま、なにも発せないアルフレッドの腕を強引に引っ張り、立ち上がらせる。そして、そのまま引きずるようにして執務室を出た。
……レオ。
アルフレッドの腕を掴んだまま、廊下を歩く。
目的の場所は主を失ったレオナルドの部屋だ。
……絶対に仇を取るからね。
凶行に走った張本人がいない。
既に死亡をしているのは間違いないだろう。
……侯爵家を潰そう。
それならば一族を根絶やしにする。
セドリックの出した答えはそれだった。
「……レオ兄さんの部屋……」
レオナルドの部屋に入ったアルフレッドは膝から崩れ落ちる。そして、そのままレオナルドが愛用していたクッションに腕を伸ばして抱き締める。
長期休暇になると伯爵邸に帰ってきていたレオナルドを思い出したのだろう。
クッションを抱き締めたまま大泣きをしていた。
……あの時、引き留めていれば。
そのまま、学院に戻らないでほしいと駄々を捏ねていれば、兄弟に甘いところのあるレオナルドはここにいたのだろうか。
泣き崩れるアルフレッドを見ながら、セドリックはあったかもしれない未来を想像してしまう。
「……アル」
優しい妄想に浸っている余裕はない。
セドリックは心を鬼にしてアルフレッドに声をかけた。
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